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2018年11月9日(金曜日)付、日本経済新聞朝刊の「交遊抄」に当組合理事長のコラムが掲載されました。

「交遊抄」兜町の白雪姫  
八尾 和夫

 

白雪姫のイラスト

 舞台の幕が上がると観客席にざわめきが広がった。「おい、男だぜ」。50年前、奈良女子大学文学部付属高校の文化祭で英語劇「白雪姫」を演じた時のことだ。
母校は日本で唯一、女子大付属高なのに男女共学。生徒の半分は女子だ。なのに白雪姫役がまさかの男、後に住友化学で「タンスにゴン」を開発する津田重典君だった。魔女役も男の私で、女子高生の華やかな舞台を期待した観客ががっかりしたのも無理はない。

 王子役の広岡卓君も合わせた3人は、英語クラブESSの中心メンバーだった。脚本、監督も担当した私は、王子のキスで生き返った白雪姫が心臓マヒで倒れるが、当時話題のニュースだった心臓移植手術で助かるというストーリーを仕立てた。男役の白雪姫にざわめいた観客たちにも最後は大いに受け、舞台は喝采の中、幕を閉じた。

お酒のイラスト

 そんな3人が50年近くたって再会した。津田君は広栄化学工業の社長を経て相談役に、広岡君は日本農薬から農薬工業会事務局長に、私は日銀を経て現職。そんな3人の職場が今、いずれも東京・日本橋兜町の周辺だ。大学が東京と京都に別れ、就職後も海外勤務などで会う機会がなかった。それが今、徒歩圏内に集結した。「兜町白雪姫の会」と称し、忘年会や新年会、花見に暑気払いと杯を重ねている。